事事関心! 仏閣探訪:
[ 神奈川県鎌倉市/安国論寺 ]
神奈川県鎌倉市/安国論寺          2014/06/22(日)新規
探索案内

 JR横須賀線「鎌倉」駅にて下車、東口よりバスロータリー正面の道へ進み若宮大路へ出る。 大路を右手の由比ガ浜方向へと進む。 途中「下馬」交差点で鎌倉葉山線(県道311号線)に左折し、500mほど先の四つ角を過ぎて、次の二股で左側の側道に入る。 更に150mほど進むと、再び道が二股に分かれる分岐点正面に参道の階段がある。 駅から徒歩20分ほどではあるが此処まで来ると鎌倉でも観光客は殆どいない。
 安国論寺は長勝寺・妙法寺と並び、日蓮が鎌倉で布教するに際して拠点とした松葉ヶ谷草庵の跡とされ、「松葉ヶ谷霊跡安国論寺」とも云う。 日蓮が前執権北条時頼に建白した「立正安国論」を執筆した岩穴(法窟)の側に、文応元年(1260)弟子の日朗が安国論窟寺を建てたのが始まりと伝えられている。

寺名: 妙法蓮華山 安国論寺
宗派: 日蓮宗
建立: 建長五年(1253)
開山: 日蓮上人
本尊: 南無久遠実成本師釈迦牟尼仏
札所:
拝観: 大人100円
住所: 鎌倉市大町4-4-18
アクセス: JR横須賀線「鎌倉」駅にて下車。
   東口3番バス乗り場から「名越方面行き」に乗り「名越」バス停にて下車、徒歩3分。

【履歴】
・ 2014/06/22(日): 新規作成

山門

「松葉谷根本霊場」石塔

山門

扁額「安国法窟」

 石畳の参道を進むと右手に「松葉谷根本霊場」石塔があり、更にその先に桜の樹が覆い被さるように少し隠された山門がひっそりと門を開いている。 山門まで行くと、軒には「安国法窟」の扁額が掲げられていた。

境内参道

 山門を潜ると左手に拝観受付所がある。ここで拝観料(100円)を払い、領収書と境内図が描かれた案内パンフレットを頂く。 更に少し入ると右手に手水舎がある。そして、更にその先には趣のある石畳の参道が本堂まで続いている。


手水舎

石灯籠

十輪塔

 参道の左手には、入口から本堂の前まで、大きな石灯籠が5基並んでいる。 さらに門の手前の右側の1基、 本堂の先に2基、境内奥の斜面の南面窟に1基と全部で9基ほどある。 これらはかつて増上寺にあった徳川家のものと云う。

本堂

本堂

扁額「立正安国」

 本堂(祖師堂)は江戸時代にも二回ほど建て直されているが、最近でも昭和三十六年(1961)に火災で焼失し、その後再建され、現在に至っている。
 本堂には、「立正安国」の額が掲げられ、本尊の南無久遠実成本師釈迦牟尼仏や日蓮上人座像が安置されている。

石仏等

石仏

仏足石

日蓮上人に食物を捧げる猿像

 日蓮上人は、 鎌倉の草庵が焼打ちされた際、山王権現の白猿の案内で逗子の岩窟に難を逃れたとされる(松葉ヶ谷法難)。 この伝承に因み、日蓮が焼打ちにあった松葉ヶ谷草庵の霊跡の此処「安国論寺」と、日蓮が避難した岩窟付近を霊跡として建立された逗子の「法性寺」に、猿の像が置かれている。

日朗上人御荼毘所


 本堂の右手を山のほうに向かうと、日朗上人が荼毘にふされたという日朗上人御荼毘所のお堂がある。
 日蓮の高弟の六老僧のうち「至孝第一」と言われ、安国論寺の二世となった日朗上人を火葬にした霊場である。


御小庵

御小庵

南面窟

 日朗上人御荼毘所からさらに奥に進むと、山手の斜面には、日蓮聖人が襲われたとき難を逃れたという"南面窟"がある。
 御小庵は、松葉ヶ谷の庵があったとされる場所に、江戸中期の元禄年間(1688〜1704)に尾張徳川家の寄進で建てられた小さな堂だ。 『立正安国論』を著した御法窟の前に建てられている。 文応元年、御法窟にて『立正安国論』を書き上げた日蓮は長谷の光則寺において、北条時頼の家臣宿谷光則を通じて幕府に提出した。
 "南面窟"は、文応元年(1260)松葉ヶ谷の庵が念仏者による焼き討ちにあったとき、日蓮上人が白猿に袖を引かれて避難し難を逃れたと云う。

鐘楼

鐘楼

梵鐘

 本堂の右手前には小高い山があり、御小庵の右手に登り路がある。 登ると市内を一望出来、途中には「立正安国の梵鐘」を吊るす鐘楼が建っている。 この鐘楼は、人間国宝の香取正彦氏の鋳造で、梵鐘に刻まれた「立正安国」の字は、日蓮上人の字を写したものとのこと。 毎日定刻に打ち鳴らされるそうだ。


熊王尊殿



 日蓮に使えた童子の従者、熊王丸がつくったとされる熊王稲荷がまつられ、厄除け、眼病平癒、歯痛止め、縁結び、交通安全、家内安全、学問成就などに霊験あらたかとされる。


あとがき

 大町も此の辺りまで来ると山懐深くなり鎌倉市街の喧騒も嘘のようだった。
 安国論寺は日蓮が伊豆に流されたが、後に許されて鎌倉に小庵を営んだ地と云われている。 滞在した名残が遺り歴史を感じられ、暫し日常から離れた時を過ごせたような気持になった。

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