JR横須賀線「鎌倉」駅にて江ノ島電鉄に乗り換えし、「長谷」駅にて下車する。
線路を横切る駅前の道を山側へと進むと200mほど先左手に長谷寺の参道がある。
「長谷観音」と呼ばれ親しまれてきた長谷寺は、鎌倉屈指のアジサイの名所として知られ、約40種類・2500株が群生する境内の眺望散策路では由比ヶ浜の海を見ながらアジサイの花を愛でることができる。
この寺は、天平八年(736)大和の長谷寺(奈良県桜井市)の開基でもある徳道を藤原房前が招請し、十一面観音像を本尊として開山したという。
寺院: 海光山 慈照院 長谷寺
宗派: 浄土宗系単立
建立: 天平八年(736)
開山: 徳道
本尊: 十一面観音
札所: 坂東三十三観音4番、鎌倉三十三観音霊場4番、鎌倉江の島七福神(大黒天)
拝観: 大人300円 (8:00 - 17:00)
住所: 鎌倉市長谷3-11-2
アクセス: 江ノ島電鉄「長谷」駅から山手の方へ徒歩5分。
【履歴】
・2013/03/08(金): 散策。
山門 |
妙智池 |
この山門は昭和に復元された木造建築のもの。 山門の左手側には明治時代の作家でかつてこの地に住んだ「高山樗牛(たかやまちょぎゅう)」の石碑がある。 長谷寺の境内は、ここから下境内と、山の中腹にある上境内の2つに別れている。 下境内には季節ごとに美しい花々が咲き、妙智池と放生池という2つの池が配されている回遊式の庭園となっている。
観音堂 |
扁額「長谷観音」 |
十一面観音菩薩像 |
上境内の中心に「観音堂」が建っている。
この堂には本尊である十一面観音菩薩像が祀られている。
この十一面観音菩薩像は高さ9.18m、台座をいれると12mあり木造では日本一だそうだ。
立ち姿が美しい観音像は大和の長谷寺の観音様と同じ楠の一木造りである。
康永元年(1342)に足利尊氏が金箔を施し,明徳三年(1392)には足利義満が光背を造って納めたといわれている。
像の右側には、弘法大師坐像、二十九世善誉耕美上人坐像が祀られている。
阿弥陀堂 |
阿弥陀如来坐像 |
阿弥陀堂は本堂の右手に建っている。
ここに祀られている阿弥陀如来坐像は、高さ2.8m。
鎌倉幕府初代将軍である源頼朝が、自身の42歳の厄除けのために像立されたと伝えられ、「厄除阿弥陀」の名で信仰されている。
元は長谷村の誓願寺に安置されてたが、元禄初年頃に長谷寺に移されたと云う。鎌倉六阿弥陀の一つ。
観音ミュージアム |
大黒天像 |
観音堂左手に建っている。
観音寺伝世の大黒像は、この観音ミュージアムに納められており、応永十九年(1412)の銘を持つ神奈川県でも最古の尊像である(通常非公開)。
この本尊に代わり、大黒堂内には「出世・開運授け大黒天」や「さわり大黒天」が祀られており、鎌倉・江ノ島七福神の1つになっている。
大黒堂は妙智池と放生池の池の右手、弁天堂の前に建っている。
地蔵堂 |
卍池 |
妙智池と放生池の池の間を通って坂を上っていくと、地蔵堂がある。
その地蔵堂の傍にある卍池は形が卍になっており、奪衣婆(だつえば)と懸衣爺(けんねおう)が座っている。
弁天窟入口 |
下境内の右手奥にある弁天堂の先には「弁天窟」と呼ばれる洞がある。
この洞は、弘法大師が参籠し、感得して弁財天の尊像を彫られたと伝えられているが, その像は宝物館に収蔵されている。
洞窟入口には宇賀神祀られ、その先には十六童子像が岩壁に刻まれている。さらに最奥に、岩壁に刻まれた弁財天像がある。
梵鐘には、「文永元年(1264)甲子7月15日新長谷寺」の銘文があり、鎌倉では常楽寺、建長寺の梵鐘に次いで古い(鎌倉四大古鐘の一つ)。
時代の特徴がよく表された優品で、現在は観音ミュージアムに収蔵されている。
(鋳物師・物部季重 【国指定重要文化財】)
実際の鐘楼に吊されている梵鐘は新たに鋳造されたものだ。
経蔵 |
輪蔵 |
経蔵は一切経を収める建物。
経蔵内にあ「輪蔵」と呼ばれる回転式の書架を一回転させると、全ての経を読んだのと同じ功徳があるといわれている。
現在は「輪蔵」保護のため、回転させることができるのは観音様の縁日である18日に限られている。
良縁地蔵 |
由比ガ浜の眺望 |
上境内の散策路を巡っていると所々に写真の「良縁地蔵」のような可愛いいお地蔵さんが佇んでいる。
上境内から海側を見ると由比ガ浜の眺望が開けている。左手の奥に見えるのは三浦半島だ。
どの季節に訪れても観光客が多いが、やはり紫陽花の季節が一番だろう。