事事関心! 仏閣探訪:
[ 神奈川県鎌倉市/覚園寺 ]
神奈川県鎌倉市/覚園寺           2017/06/03(土)新規
あらまし

 JR横須賀線「鎌倉」駅東口から京急バス「鎌20 大塔宮行」に乗り、終点の「大塔宮」バス停にて下車する。山側へ続く緩やかな登り道を約600mほど行った山裾にある。
 健保六年(1218)、薬師如来の眷属である十二神将のうちの「戌神(伐折羅大将)」が北条義時の夢に現れ、そのお告げにより命拾いしたことに感謝し大倉薬師堂を建立したのが覚園寺のはじまりである。 以上のような由緒をもつ大倉薬師堂は、北条家の歴代執権によって尊崇された。
 永仁四年(1296)、九代執権北条貞時公が、元寇の再来がないように願い大倉薬師堂を正式の寺に改めたという。 覚園寺ではこの永仁四年をもって寺の創建としている。

寺名: 鷺峯山 真言院 覚園寺
宗派: 真言宗泉涌寺派
本尊: 薬師三尊座像
建立: 永仁四年(1296)北条貞時
開山: 智海心慧
札所: 鎌倉二十四地蔵尊第3番(黒地蔵)
拝観: 500円、撮影禁止
住所: 鎌倉市二階堂421
アクセス: JR横須賀線「鎌倉」駅下車、京急バス「鎌20 大塔宮行」にての「大塔宮」バス停へ、その後徒歩10分。

【履歴】
・2017/06/03(土): 5/31(水)探訪。

山門



 石段の上に建つ山門をくぐると緑豊かな境内が広がっている。 門のすぐ左手には蓮が植えられた甕が並べてあり、その先に石の層塔が建っている。 また、正面右手には愛染堂が建っている。


愛染堂

 寺の入口正面右手にある愛染堂とそこに祀られる諸仏は、明治初年に廃寺となった大楽寺から移されたものである。 大楽寺は当初胡桃ヶ谷(くるみがやつ、鎌倉五山の1つである浄妙寺の東の谷)にあり、文保元年(1317)二階堂行朝が開基となって建てた寺で、後に覚園寺のある薬師堂ヶ谷に移転した。



 現在の堂は、文和に建てられたものをもとに元禄二年(1689)に改築されたものである。
 堂内中央に本尊の木造愛染明王坐像(市重文)、右に鉄造不動明王坐像(県重文)、左に木造阿閃如来坐像(県重文)が祭られている。 木造阿閃如来坐像は鎌倉十三仏の一つに数えられている。


薬師堂

 ここより先はほぼ毎時開始の約45分ほどの案内付き拝観となる。なお、撮影禁止である。




 薬師堂は、建保六年(1218)に北条義時が建てた大倉薬師堂がその始まりである。 その後火災に会い、文和三年(1354)に建てられた仏殿を元禄二年(1689)に改築したものとされている。
 薬師堂の建築様式は禅宗様で、桁行き五間(約12.9m)、梁間五間(各約11.6m)、寄棟造りの茅葺である。
 ご本尊は高さ1.8mの薬師如来で、向かって右に日光菩薩、左には月光菩薩が従っている。(木造薬師三尊像【重文】)
 また、薬師如来の前には、開山の智海心慧上人像が祀ってあり、向かって左手には"おびんずる様"がおり、直してもらいたい体の部分と一致するところをなでてお参りできる。 さらに、右奥には鞘阿弥陀とも呼ばれる、阿弥陀如来坐像が祀られている。 左手の奥には、三体の伽藍神が祀られ、建物を守っている。
 左右の壁際には十二神将像【重文】があり、向かって右に干支の 子、丑、寅、于、辰、巳 が、左に手前より 午、未、申、酉、戌、亥 が配されている。
 天井は鏡天井で、二本の梁牌により三つに分かれているが、中央には龍、両脇は雲文が描かれている。 梁牌は、天井を向いて右側が足利尊氏の書いたもので、左は文和元年(1354)住持の沙門思淳上人がお寺修造の完成に当たって書いたものである。

旧内海家家屋、十三仏やぐら、地蔵堂

 薬師堂を拝観した後は旧内海家家屋、十三仏やぐら、地蔵堂と巡り、拝観受付所に戻って終了となる。
旧内海家家屋:
 江戸時代の豪農の家屋を移設、保存している。
十三仏やぐら:
 覚園寺境内には100を超える"やぐら"があるそうだ。普通のやぐらは墓地として使われているが、この十三仏やぐらはお墓ではなく祭事用のものだったようだ。 やぐらの奥の壁に十三の仏様が彫られている。
地蔵堂:
 地蔵堂には別名「黒地蔵」の名で親しまれている木造の地蔵菩薩立像(国重文)のほか、信者が寄進した地蔵が安置されている。
 黒地蔵のいわれは、みずから火加減をして地獄の罪人の苦しみを和らげるために、火を焚く役目を引き受け、そのため、すすのため黒くなっていると云う。  何回塗り直してもとに戻ってしまうと云われている。

あとがき

 拝観は10時から3時まで、ほぼ一時間おきに入山料500円・案内者付きのツアー形式でできる。参加したのは11時からのものだったが10人ほど参加者が集まっていた。 メインは本堂薬師堂の拝観で、薬師三尊、十二神将など多くの仏像を説明を聞きながらゆっくり鑑賞できる。また、疑問があれば案内員に聞くこともできるので有意義なツアーだと思う。


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