事事関心! 仏閣探訪:
[ 京都府宇治市/平等院 ]
京都府宇治市/平等院 [世界遺産]        2014/10/03(金)新規
探訪案内

 京阪電鉄宇治線「京阪宇治」駅で下車、駅を出ると目の前の大通り右手に宇治橋が架かっている。平等院はこの宇治橋を渡り、宇治川上流方向に奔る平等院表参道を進むと表門入口に至る。
 平等院は宇治川の西岸にあった源重信の別荘をその夫人から藤原道長が譲り受け、その子頼通が永承七年(1052)、寺に改めたもの。世界遺産に登録されている。
 鳳凰を屋上に戴く鳳凰堂(国宝)には仏師・定朝作の阿弥陀如来像が安置され、52体の雲中供養菩薩像が長押の上で、雲に乗って音楽を奏している。 壁扉画、日本三名鐘の一つといわれる梵鐘とともに国宝に指定されている。

寺名: 春日山 平等院
創建: 永承七年(1052)
開基: 藤原頼通、明尊(開山)
本尊: 阿弥陀如来像【国宝】
住所: 京都府宇治市宇治蓮華116
拝観: 一般 600円、鳳凰堂内部拝観は別途300円
交通: 京阪電鉄宇治線「京阪宇治」駅下車、徒歩10分。

【履歴】
・2014/10/03(金): 09/30(火)探訪。

鳳凰堂【国宝】

 平等院を訪れたらまず最初に鳳凰堂の内部拝観の申し込みを行おう。20分毎に1回50名の案内なので拝観希望者が多いと長時間の待ち時間が発生してしまうのだ。 自分らも平日の10時前だったが40分待ちだった。


鳳凰堂【国宝】

鳳凰(復元模像)

鳳凰(復元模像)

 平安時代後期、天喜元年(1053)に、時の関白藤原頼通によって建立された阿弥陀堂だ。 華やかな藤原摂関時代を忍ぶことの出来るほとんど唯一の遺構として、このうえなく貴重な建築物である。 池の中島に建てられており、あたかも極楽の宝池に浮かぶ宮殿のように、その美しい姿を水面に映している。


阿弥陀如来坐像【国宝】

雲中供養菩薩像【国宝】

 堂内の中央には金色の丈六阿弥陀如来坐像が端坐し、周囲の壁および扉には九品来迎図、阿弥陀仏の背後の壁には極楽浄土図が描かれている。 そして左右の壁の上部には52体の雲中供養菩薩像が懸けられている。阿弥陀如来坐像は阿字池越しに丸窓を通し拝することができる。


養林山書院【重文】

南門

養林山書院

 養林庵書院は慶長六年(1601)伏見城より移築されたと伝えられている。 広縁中央には、寛永の三筆の一人、松花堂昭乗の筆による扁額がかかり、内部には狩野山雪工房による襖絵などがあるそうだ。 細川三斎(忠興)の作と言われる洗練された枯山水庭園もある。
 内部は残念ながら通常非公開である。

不動堂

不動堂

頼政の墓地

 不動明王を本尊とする最勝院の本堂。 また最勝院が天台修験宗を極める聖護院末であるところから役小角(えんのおづぬ)(役行者)の像が祀られている。 隣接する地蔵堂には地蔵菩薩坐像が祀られている。
 治承四年(1180)5月、以仁王(もちひとおう)の令旨を奉じ、平家打倒を掲げた源頼政は宇治で決戦に及び、衆寡敵せず平等院で辞世の和歌を残し自刃した。
辞世の和歌: 「 埋もれ木の 花咲くことも なかりしに 身のなる果てぞ 悲しかりける

羅漢堂【宇治市指定文化財】


 茶師星野道斎とその息子たちにより寛永十七年(1640)に建立された。 典型的な禅宗様の建物で、主要部材が建立当時そのままに保存され、鏡天井に描かれた龍は彩色良く保存されている。
 堂内には多くの仏さまが安置されている。 真ん中におられるのは冠や瓔珞を付けた宝冠釈迦如来坐像で、脇には十六羅漢像などが配されている。


梵鐘

梵鐘【レプリカ】
総高: 199.0cm
竜頭高: 41.8cm
笠形高: 10.9cm
身高: 146.0cm
撞座径: 19.7cm
口径: 123.0cm
口厚:  12.0cm
鋳造: 平安時代(12世紀)

 梵鐘はかつて鳳凰堂南側の園池のほとりに建つ鐘楼に懸けられていた。 いまは大気汚染による錆害など保存上の見地から取り外されて鳳翔館に収蔵され、鐘楼には新たに製作された復元模像が懸けられている。 平安時代を代表する梵鐘の1つで、古くから「姿の平等院鐘」、「声の園城寺鐘」、「勢の東大寺鐘」の「天下の三名鐘」の1つとしても有名だ。 鬣を真上に逆立たせた竜頭が飾られたり、宝相華唐草の地文の上に鳳凰や、踊る天人などが描かれている。


観音堂【重文】


 非公開。鎌倉時代前期に創建当時の本堂跡に再建された建造物とされている。
 この堂の本尊は、十一面観音立像(重要文化財)で、須弥壇上の厨子に祀られていた。 厨子の前には御前立ちの蓮華手菩薩立像がいる。そして脇侍は地蔵菩薩立像と不動明王立像である。 このうち、十一面観音立像と地蔵菩薩立像は、鳳翔館で拝観することが出来る。
 鳳凰堂を正面から見るために阿字池の畔をたくさんの人が巡っているのに、途中に少し離れて立つ観音堂をじっくり見ている人は殆どいなかった。

平等院ミュージアム鳳翔館

鳳翔館

鳳翔館_展示風景

梵鐘【国宝】

 鳳翔館は平成十三年(2001)開館した平等院の総合登録博物館で、世界遺産である平等院の景観に配慮し、施設の大半が地下に埋められている。
 国宝に指定されている梵鐘や重要文化財に指定されている十一面観音立像、宇治市指定文化財に指定されている帝釈天像、地蔵菩薩像などが展示されている他、平安時代(794年-1185年)の鬼瓦などの発掘出土品も多く展示されている。

あとがき

 平等院鳳凰堂内部の拝観を終えた後は鳳翔館を見学した。 鳳凰堂の52体の雲中供養菩薩像のうちの約半数はレプリカでその本物が鳳翔館に展示されている。 鳳凰堂での雲中供養菩薩像は薄暗い中で5,6mほどの距離からの鑑賞だったこともありあまり記憶に残っていなかった。 それに比較して鳳翔館では数mとすぐ目の前での鑑賞だったので強く記憶にも残った。 やはり、身近で観ないとなー。


関連コンテンツ

inserted by FC2 system