事事関心! 仏閣探訪:
[ 京都市上京区/大報恩寺(千本釈迦堂) ]
京都市上京区/大報恩寺(千本釈迦堂)     2019/09/28(土)新規
探索案内

 京都駅前から市バス50系統[北野天満宮・立命館大学行]に乗り、約30分の「上七軒」バス停で下車、上七軒交差点から北へ延びる七本松通り右側の千本釈迦堂参道を進むと100mほど先に山門がある。
 大報恩寺(千本釈迦堂)は今から約800年前、鎌倉初期安貞元年(1227)義空上人が藤原光隆の臣・岸高より寄進を受けたこの地に小堂を建て一仏十弟子像を安置したのが当寺の起こりという。 当初、倶舎、天台、真言の三宗の霊場として堂塔伽藍も整い壮麗を極めたが、応仁の乱をはじめ度々の災火のため堂宇を失ってしまった。 現在唯一残る本堂(釈迦堂)は市の現在残る最古の仏堂遺構で国宝に指定されている。

寺名: 瑞応山 大報恩寺(通称: 千本釈迦堂)
宗派: 真言宗智山派
本尊: 釈迦如来坐像(秘仏)
開祖: 義空上人
創設: 鎌倉初期・安貞元年(1227)
住所: 京都市上京区七本松通今出川上ル
拝観: 9:00〜17:00境内無料。本堂・霊宝殿/600円
アクセス: 市バス「上七軒」バス停下車、徒歩約3分

【履歴】
・2019/09/28(土): 09/24(火)探訪

山門



 上七軒交差点の直ぐ北側に真っ直ぐ延びる千本釈迦堂参道を進むと100mほど先に山門がある。参道の起点には大きな「千本釈迦堂」の寺名標石があるので迷うことはないだろう。


本堂【国宝】

本堂−正面

本堂−右斜視

 山門をくぐると真っ直ぐに本堂へと石畳の参道が続いている。
 本堂は安貞元年(1227)の創建時のままで、檜皮葺き、和風の寝殿造りである。 本堂内部は内陣と外陣は隔壁で区切られており、この隔壁は鎌倉時代初期の遺構をとどめているという。
 建物は創建時そのままのものであり、応仁・文明の乱にも両陣営から手厚き保護を受け、奇跡的にも災火をまぬがれた京洛最古の建造物として【国宝】に指定されている。


本堂−厨子

本堂右手廊下−おかめ像

 本堂は、霊宝殿との共通拝観券で内に入れる。
 大報恩寺の本尊(秘仏)釈迦如来坐像は、須弥壇にある高御座式の厨子に安置されている。 また、堂内では慈雲観音菩薩像も拝める。
 右手廊下でおかめ人形の展示が行われていた。廊下奥の"おかめ人形"像は本堂に向かって右前に置かれたおかめ銅像の原型とされた「おかめ人形」とのことだ。

北野経王堂



 明徳の乱で敗戦死した山名氏清を弔うため応永八年(1401)に足利義満が内野に建てたといわれる北野経王堂を、後に解体縮小してここに移したとされているのがこの堂である。


不動明王堂



 山名氏清・宗全の念侍仏とされる不動明王尊が祀られている。厄除け、開運などのご利益があるそうな...。


おかめ銅像、阿亀桜、石仏塔

おかめ銅像

阿亀桜

石仏塔

 「おかめ銅像」は、昭和五十四年(1979)に"おかめ"を慕う信者らにより建てられたものといわれている。
 「阿亀桜」の名は、千本釈迦堂建立時の棟梁・長井飛騨守高次の妻「阿亀(おかめ)」を忍びその名がつけられたそうだ。樹齢80年ほどの枝垂桜で、この千本釈迦堂を桜の名所ならしめている。

おかめ伝説

 かつて、本堂を造営しているとき棟梁の長井飛騨守高次が貴重な柱の寸法を誤って切ってしまった。 進退極まり途方に暮れていた高次を見て、妻の"おかめ"が一計を案じ、ある提言をした。 この着想により、見事に本堂を落成させることができたが、上棟式の前日に妻の"おかめ"は自殺してしまった。 女の入れ知恵で棟梁の任を果たしたということが世間に漏れては夫の恥と考え、すべてを秘密にするため、というのが自殺の理由であった。 高次は妻の心情にうたれ、上棟式には御幣におかめの面を飾り、冥福を祈ったという。


霊宝殿

霊宝殿

阿弥陀如来像【重文】


 本堂の西側奥に建っている。室内は薄暗く、空調が良くないので少し息苦しい感じがした。
 千本釈迦堂に残る寺院創建以来の数多くの貴重な寺宝は宝物館である霊宝殿に保管・展示されている。 本堂・霊宝殿共通拝観券があるので絶対に観ておくべきだ。



六観音菩薩像【重文】

 等身大の六観音像が揃って残っているのは、極めて稀有な例という。この六観音菩薩像は慶派仏師肥後定慶の代表作の一つ。六躯の中でも抜群の出来栄えのものが准胝観音だ。



十大弟子立像【重文】

 十大弟子立像は快慶最晩年の名作だ。十大弟子とは釈迦の弟子のうち十人の偉大な弟子のことでこの弟子像はそれぞれの相貌が個性的でまるで実在するモデルがいたかのようだ。


あとがき

 霊宝殿では快慶の作による十大弟子像や六観音菩薩像、銅像釈迦誕生仏立像、千手観音立像などの数多くの貴重な文化財を拝観できた。


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