事事関心! 仏閣探訪:
[ 京都市右京区/妙心寺 ]
京都市右京区/妙心寺            2016/10/09(日)新規
探索案内

 全国に3400の寺院を持つ臨済宗妙心寺派の大本山である。
 建武四年(1337)花園法皇が関山慧玄を招いて開山した。この地にあった法皇の離宮を禅寺に改めた。 応仁の乱で堂塔の多くを焼失したが、細川勝元・政元親子らの援助により再興された。 その後、豊臣、徳川家をはじめ諸大名が帰依し、隆盛を極めた。
 東西に約500m、南北約600m、南から三門、仏殿、法堂と重文の伽藍が一直線に配置され、その周囲に46の塔頭が並ぶ。
 大灯国師墨跡(国宝)をはじめ、仏像、絵画、障壁画、庭園など多くの文化財を所蔵し、法堂に置かれた梵鐘(国宝)は最古の銘を持つ。

寺名: 大本山 妙心寺(正法山 妙心禅寺)
宗派: 臨済宗妙心寺派
本尊: 釋迦如来
創建: 暦応五年/康永元年(1342)
開基: 花園法皇
開山: 関山慧玄
拝観: 境内は無料、法堂と浴室の案内付き拝観は500円
住所: 京都市右京区花園妙心寺町1
アクセス: JR嵯峨野線「花園」駅下車、徒歩10分。

【履歴】
・2016/10/09(日): 09/26(月)探訪

山門【重文】

南総門【重文】

勅使門【重文】

北門【重文】

 下立売通に面して南総門があり、此処より境内に入ると三門、仏殿、法堂などの伽藍の左手を真っ直ぐ北へ続く内参道が方丈まで続いている。
 南総門の左手にある勅使門は桃山時代の慶長十五年(1610)に惣門として建立された。
 勅使門は檜皮葺切妻造りの四脚門で慶長十五年(1610)の建立である。山門、放生池など伽藍の正面に位置し、勅使や住持が普山する際に用いられる。
 北門は薬師門で慶長十五年(1610)の建立である。

大方丈【重文】




 大方丈は、寺院の長老や住持の居所を云う。大方丈は、承応三年(1654)の建立で、入母屋造・檜皮葺の建造物。
 仏壇には阿弥陀三尊像を安置してある。襖絵は狩野探幽と狩野益信の筆。

法堂【重文】

法堂

雲龍図(狩野探幽)

 法堂は、江戸時代の建造物(創建1657年)。法堂自体は、寺の多目的ホール的な役割を担っている。 ここには仏像が置かれておらず、坐禅や法座などを行う場所でもある。 内部にあるケヤキの柱は、原木を四つに割ってから丸く削ったもの。高さにして8mもあり、周囲は2mにもなる。 この原木は富士山の麓から船で運ばれたものとのこと。
 法堂の天井には、「こちらから見ると下がり龍、あちらから見ると上り龍」とも言われる雲龍図が描かれている。 日本一のスケールを誇り、圧倒的な存在感を誇る。この雲龍図は狩野探幽によって八年以上の歳月を費やして描かれた。
 法堂の中には、文武天皇二年(698)に鋳造された日本最古の黄鐘調(高さ150cm・重さ825kg)の鐘が置かれている。鐘を眺めながらCDに録音された鐘の音が聴けるサービスを行っている。
 吉田兼好の徒然草に「およそ鐘のこえは黄鐘調なるべし...浄金剛院の鐘の声また黄鐘調なり
と、ある鐘で、もとは浄金剛院(廃寺)にあったものだそうだ。

仏殿【重文】



 文政十年(1827)に創建され、毎朝の勤行の他、お釈迦さまの三仏忌となる降誕会・成道会、涅槃会がここで勤められる。
 仏殿は典型的な禅宗様建築で、一重裳階付で入母屋の屋根が聳え立つ。 扉は桟唐戸、窓は火灯窓、組物は禅宗様三手先詰組で、柱同士は貫で緊結されている。 また、内部は全体で一室、瓦を四半敷きに敷き詰めた土間床で、天井は中央部を高くして上昇感を持たせている。 禅宗の仏殿は大きさの違いはあるが、概ねこのような形式を基本としており、鎌倉時代の導入期以降あまり変化はない。

三門【重文】

山門

 三門は、慶長四年(1599)建てられた桃山時代建築の重要文化財建造物である。 楼上には、観世音菩薩と十六羅漢が祀られ、極彩色鮮やかに飛天や鳳凰、龍の図が柱や梁に描かれている。
 残念ながら常時公開はしていない。特別公開時、1年に1度の6月8日「山門懺法」にしか公開されないので時期確認が必要だ。


経堂【重文】


 延宝二年(1674)に建立され「崑蘆蔵」という扁額がかかっている。 中にる輪蔵を回転させると、納められた経文をすべて読誦した功徳を得るとされる。ただし、一般公開されていない。


浴室【重文】


 禅宗でいう七堂伽藍に数えられる「浴室」で天正十五年(1587)建立され、明暦二年(1656)再建された。 明智光秀の叔父、密宗和尚が光秀の追善菩提のために建立したとされ、現代のサウナの様な風呂で「明智風呂」と呼ばれている。


鐘楼


 大庫裏の門の西にある鐘楼は、"山内への本坊出仕や時刻を告げるため"元禄九年(1696)に建てられた。 ここで使われていた黄鐘調鐘(おうじきちょうのかね)の内側には、「戊戌年四月十三日壬寅収糟屋評造舂米連広国鋳鐘」の銘があり、年が刻まれている鐘の中では、日本最古とされている。 なお、現在この梵鐘は法堂に保管されており拝観出来、更にその鐘の音はCDで視聴できる。


あとがき

 今回は初めての訪問で、この後龍安寺、仁和寺を訪れる予定があったので南総門から入り直線状に並んだ伽藍を眺めながら庫裡まで行き、有料の法堂と浴室の案内付き拝観コースを巡った。 幾つかの塔頭には公開しているところ(通年公開は、退蔵院、大心院、桂春院の3つのみ)もあるので時間をかけ再訪したいものだ。

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