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[ 京都市南区/東寺(教王護国寺) ]
仏閣探訪: 京都市南区/東寺(教王護国寺)[世界文化遺産] 2019/09/29(日)更新
探訪案内

 JR京都駅八条口より南西方向へ徒歩15分ほどの街中にある。
 東寺は、平安遷都(794年)の際に羅城門の東西に王城鎮護を目的として建てられた東側の官寺で、延暦十五年(796)に建立された。 西側に建立された西寺は現存していない。
 その後、弘仁十四年(823)に嵯峨天皇から空海に下賜され、真言密教の根本道場となった。この時に金光明四天王教王護国寺秘密伝法院と改称されたが、教王護国寺または東寺と呼ばれることが多い。
 天長二年(825)に講堂の造営が、翌年には五重塔が造営された。 そして着工より45年が経過した承和六年(839)ようやく完成し落成供養が行われている。

寺名: 東寺真言宗総本山 東寺(教王護国寺)
宗派: 真言宗
住所: 南区九条町1
本尊: 薬師如来像(重要文化財)
創建: 延暦十五年(796)
開基: 桓武天皇
拝観: 境内-無料 , 金堂・講堂拝観料-500円
   (秋季特別公開: 金堂・講堂・観智院、五重の塔開扉、宝物館特別公開 1,300円)
アクセス: JR東海道本線「京都」駅下車、八条口(新幹線側)から八条通を西へ徒歩15分

【履歴】
・2019/09/29(日): 09/24 早朝に散策。"宝蔵"・"八島社"・"その他の門"を追加
・2018/11/01(木): 講堂、食堂、夜叉神堂を追加など。
・2012/09/30(日): 作成。

南大門 【重文】

 九条通りに面して南大門がある。


南大門-正面

南大門-境内側

寺号碑

 南大門は教王護国寺(東寺)の正門で、数ある東寺の門の中で最も大きく、幅18m余・高さ13m余、切妻造本瓦葺、三間一戸の八脚門で、慶長六年(1601)に建てられた三十三間堂(蓮花王院)の西門を購入し、明治二十八年(1895)に教王護国寺(東寺)の南大門として移築した。

其の他の門 

北総門【重文】

慶賀門【重文】

蓮花門【国宝】

 北総門は鎌倉時代後期に建立された四脚門だ。北総門から北大門までの参道は、櫛笥小路(くしげこうじ)といい、平安時代以来そのままの幅で残っている京都市内ただひとつの小路である。
 東門(慶賀門)は鎌倉時代前期建立の、切妻造、本瓦葺、三間一戸の八脚門である。京都駅方向にあることから東寺の拝観入口となっており、門には「好日門」の扁額が掲げられている。
 蓮華門(れんげもん)は壬生通に面している。鎌倉時代前期の再建で、三間一戸の八脚門。切妻造、本瓦葺である。

金堂 【国宝】

金堂

薬師三尊像【重文】

 南大門を潜ると正面に建つ金堂は東寺の本堂である。創建時のものは文明十八年(1486)に焼失していた。現在のものは安土桃山時代豊臣秀頼の寄進により慶長八年(1603)に完成したもので国宝に指定されている。 安置されている薬師三尊像(薬師如来、日光菩薩、月光菩薩)は東寺の本尊である。
 十二神像が金堂の本尊・薬師如来像の台座腰回り四周に配置されている。残念ながら背部方面の像は普段見ることが出来ない。 そんなわけで今回は十二神将の図録を購入し、あとでじっくり楽しむことにした。

講堂 【重文】

講堂

立体曼荼羅

 天長二年(825)、真言密教の根本道場として創建されたが、文明十八年(1486)焼失したため、延徳三年(1491)再建された。
 堂内部には、弘法大師が密教の教えを視覚的に表した羯磨曼荼羅(かつままんだら)いわゆる立体曼荼羅により密教浄土の世界が表現されている。 具体的には、如来像5体(五智如来)、菩薩像5体、明王像5体、天部2体、四天王像4体の計21体によって表されている。

食堂(じきどう) 

食堂

四天王像

 講堂の背後に建つ。初代の食堂は、空海没後の9世紀末から10世紀初め頃の創建だが、文禄五年(1596)の地震で倒壊した。 その後再建された建物も昭和五年の火災で焼失し、現存する食堂は昭和九年に再建されたものだ。
 内部左奥には昭和五年の火災で炭化した四天王像が置かれているが、他には納経所等が設けられている。

五重塔 【国宝】

 南大門を潜ると右手八島社の先の有料拝観エリアに高さ55m、日本一の高さを誇る五重塔が建っている。


五重塔

五重塔-近影

初層の邪鬼

 五重塔の内部は天井や壁・扉などが極彩色に彩られ、真言密教独特の絢爛とした雰囲気で満たされていた。
 初層には金剛界四仏が安置され、弘法大師空海が唐から持ち帰った仏舎利(ぶっしゃり、釈迦の遺骨)が納められている。
 落雷などで4度焼失し、現在の塔は五代目で寛永二十一年(1644)に徳川家光が再建したものである。

少子坊 

 灌頂院と西院の間に位置し、皇室の方々や高僧を迎えての行事で使われる東寺の迎賓館である。 本坊、書院、客殿、寺務所からなる。通常は非公開となっている。


少子坊-勅使門

 建武三年(1336)六月十四日より半年間、北朝の光厳上皇は、ここで政務をみることとなり、尊氏は千手堂(食堂)に居住したといわれる。
 現存の建物は昭和九年(1934)弘法大師一千百年御遠忌の記念事業として新築、用材はすべて木曽檜を用い、襖絵は堂本印象画伯の筆になり、昭和の代表的な建報物ということができる。
 (非公開)


西院/毘沙門堂 

 灌頂院の北側に"西院"と呼ばれるエリアがある。 このエリアには毘沙門堂、御影堂(大師堂)、大日堂、大黒堂があり、かって弘法大師・空海が住房としていた場所だ。


山門

毘沙門堂

 毘沙門堂は天慶二年(939)平将門の乱の際都の守護神として羅城門安置の兜跋毘沙門天立像(【国宝】)を天元元年(978)の大風で羅城門が倒壊の後、東寺食堂に移設・安置していたたが、文政五年に現在の堂を建立しお祀りした。 現在の建物は平成六年に修復されたものである。
 日本最古の七福神巡りと言われている「都七福神」の一つとなっている。

西院/大師堂(西院御影堂) 【国宝】

大師堂(御影堂)

 弘法大師坐像[国宝]を祀っている堂宇で、弘法大師信仰の中心となっている。「西院御影堂」とも云う。 南北朝時代/天授五年・康暦元年(1379)に焼失しており、現在の建物は室町時代/明徳元年(1390)の再建で国宝指定されている。 大師堂は南北朝時代の堂であり、他の堂とは違い土間では無く床に上がる形式で参拝する。
 安置されている弘法大師坐像は鎌倉時代/天福元年(1233)に運慶の子「康慶」によって彫られ、弘法大師を彫刻した像としては最古のものとなっている。

西院/三面大黒天 

 西院の一番西側には、三面大黒天を祀る大黒堂がある。
 三面大黒天は、大黒天、毘沙門天、弁財天の三体の天神が合体した、大師作の像である。
大黒天:  大地の神様。大地は糧を表し、土は槌で表され、それを振ると福寿円満が訪れる。
毘沙門天: 四天王の北方の守護神。財宝を司る神。
弁財天:  河の神で、弁舌、音楽、技芸上達の神。
ここでは、この三尊のご利益が一度に授かるそうだ。しかし、本尊の三面大黒天像は残念ながら拝観できない。

西院/尊勝陀羅尼(そんしょうだらに)の碑 

 毘沙門堂の横には、病に悩む人にはありがたい尊勝陀羅尼の碑がある。 亀のように見えるが実は亀ではなく、中国の想像上の動物、"ひいき"という竜の子だそうだ。
 この碑の周囲を回りながら亀の頭や手足などを撫でて、その掌で自分の患部をさすると万病に効くと云われている


夜叉神堂 

 食堂の南側、有料拝観エリアとの間に一対の夜叉神堂と呼ばれる小堂がある。


雌夜叉神堂

雌夜叉(本地虚空蔵菩薩)

雄夜叉神堂

 各堂に納められている夜叉神像は弘法大師空海の作と伝わる。阿形と吽形の2体あり、ともにヒノキの一木造。像高2m前後と大きく、怪異な表情と蜂が巣くった跡が妖気を放っている。 東側が雄夜叉(本地文殊菩薩)、西側が雌夜叉(本地虚空蔵菩薩)である。
 もとは南大門に安置されていたが、門を通る旅人が礼を尽くさないと罰があたったといい、中門に移され、現在は夜叉神堂に祀られている。

宝蔵 【重文】

 東寺の東側を奔る大宮通りにある東門(慶賀門)を入ると左手(南側)に掘割で囲われた宝蔵がある。



 平安後期に建立された校倉造の東寺の宝物を保存してきた建物で、火事による延焼を防ぐため周りを堀で囲われている。
 創建当初は南北に2棟あり、弘法大師(空海)が唐の恵果国師から授かった密教法具や経巻などが納められていたという。 長保二年(1000)と大治元年(1126)に焼失し、建久九年(1198)に文覚によって再建されたものが現存する宝蔵とされてきたが、解体修理の結果、東寺創建時に近い建造物であると考えられている。

鎮守八幡宮 

 南大門を入ると左手(西側)に後ろ向きで建っているので、西側通り沿いに位置する灌頂院の東門前へ回り込んで参拝する。


鎮守八幡宮

 鎮守八幡宮は東寺創建時、その鎮守社として創建された。 弘仁元年(810)薬子の変の際、嵯峨天皇がこの社で戦勝祈願の祈祷を行わせて勝利した。以来、戦勝祈願の社とされた。 南北朝時代、後醍醐天皇に反旗を翻して決起、東寺に陣を置いた足利尊氏もまた、この社で戦勝祈願を行ったと云う。 現在の建物は平成四年に再建されたもの。


八島社 

 南大門を入ると右手(東側)にある。


 東寺が建立される前から鎮座する社で、我が国が大八洲瑞穂国(おおやしまみずほのくに)というところから起こった社号とのこと。
 祭神は地主神とも大己貴神(おおなむちのかみ)ともいわれる。
 空海は東寺の建立にあたり、「寺門建立成就・方位安全・法道繁栄」の祈願をここで行ったと云われている。


あとがき

 前回は無料の境内を散策しただけだったが、2度目は秋季特別公開(2018.10.27-11.25)に合わせて訪れ、金堂、講堂、五重塔初層内部、観智院、宝物館とじっくり鑑賞した。
 3回目は近くのホテルに泊まったので朝食前に散策。東寺西側の壬生通を南下し九条通に回り込んで朝焼けを背景とした五重塔を眺めた。 その後、南大門から入場し八島社に参拝、境内をブラついた後宝蔵をみて宿へ戻った。


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