事事関心! 仏閣探訪:
[ 奈良県桜井市/長谷寺 ]
奈良県桜井市/長谷寺            2020/01/10(日)更新
探索案内

 長谷寺は近鉄大阪線「長谷寺」駅にて下車、坂道を下り大和川(初瀬川)を渡り上流方向へ初瀬街道を進むと門前街の先にある(徒歩15分)。
 創建は、朱鳥元年(686)、道明上人が天武天皇のために銅板法華説相図を西の岡に安置したことが始まり。
 現在の長谷寺は、真言宗豊山派の総本山で、 また西国三十三観音霊場第八番札所、全国に末寺三千余ヶ寺を持ち檀信徒はおよそ三百万人といわれ、四季を通じ「花の御寺」として多くの人々の信仰をあつめている。

寺名: 総本山 豊山神楽院長谷寺(別称 花の御寺)
宗派: 真言宗豊山派
本尊: 十一面観世音菩薩立像【重文】
創建: 伝・朱鳥元年(686)
札所: 西国三十三所第8番、真言宗十八本山第16番、神仏霊場巡拝の道第35番(奈良第22番)
住所: 奈良県桜井市初瀬731-1
入山: 大人500円
アクセス: 近鉄「長谷寺」駅から徒歩15分。

【履歴】
・2020/01/10(日): 道明上人御廟塔、二本杉を追加
・2019/09/28(土): 09/25(水)拝観

入山口


 入山口から続く石畳の参道を進むと、長谷寺の総門にあたる大きな仁王門がある。


仁王門【重文】



 長谷寺の総門で、三間一戸入母屋造本瓦葺の楼門である。 両脇には仁王像、楼上に釈迦三尊十六羅漢像が安置されている。現在の建物は明治二十七年(1894)の再建である。 扁額の「長谷寺」額字は、後陽成天皇の御宸筆である。


登廊(のぼりろう)【重文】

下登廊

蔵王堂/

蔵王堂/

 門をくぐると現れるのが、屋根付きの階段「登廊(のぼりろう)」だ。
 平安時代の長歴三年(1039)に春日大社の社司中臣信清が子の病気平癒の御礼に造ったものと云う。 長いこの階段は上登廊・中登廊・下登廊と3廊に分かれていて、総段数はなんと399段もある。 中登廊・下登廊は明治二十七年(1894)に再建された。
 中登廊と上登廊の繋ぎ目には蔵王堂が祀られており、一息入れる良いポイントだ。息を切らしながら399段を上り切ると、本堂に到着だ。

道明上人御廟塔、二本杉(ふたもとすぎ)

道明上人御廟塔

二本杉

 仁王門をくぐり登廊(下登廊)に入って直ぐ右側に七重石塔が道明上人御廟塔である。 道明上人は、寺伝によれば初瀬山の西の丘(現在の本長谷寺のある場所)に三重塔を建立し、長谷寺を開基したとされる人物である。
 下登廊を登って行く途中に「二本杉」の案内板があった。 「源氏物語」にある「玉鬘(たまかずら)」の巻のエピソード中に出てくる"二本杉(ふたまたのすぎ)"は現在も境内に残っていた。 が?、立木の大きさを見て年代が合わない。きっと昭和の時代に創られた物なんだろうな―。

本堂【国宝】



 本堂は小初瀬山中腹の断崖絶壁に京都の清水寺と同じ懸造(かけづく)りといわれる建築方法で建てられている。 正堂(内陣)は桁行(間口)の柱間九間、梁間(奥行)同五間、入母屋造本瓦葺で、また礼堂(外陣)は正堂よりやや低く、桁行九間、梁間四間、正面入母屋造本瓦葺となっている。 本堂の前は舞台造りになっており、ここからの眺望は正面奥に愛宕山(あたごやま)が広がり最高だ。
 正堂と礼堂の間には石敷の土間があり、参拝者はそこから観音様を拝めるようになっている。
本尊の十一面観世音菩薩立像は、高さ12.3mを誇る日本最大級の観音様である。

愛染堂


 愛染堂は愛染明王を本尊とし、安土桃山時代の天正十六年(1588)に観海上人が建立した。


弘法大師御影堂


 御影堂(みえどう)は、宗祖弘法大師(空海)の入定1500年御遠忌を記念して、その御徳を偲び昭和五十九年(1984)に建立されたお堂である。 大師の両側には、細密な版画「長谷寺版両界曼茶羅」が祀られている。


本長谷寺


 天武天皇の勅願により、道明上人がここに精舎を造営したことから、今の本堂(今長谷寺)に対し本長谷寺と呼ばれている。
 朱鳥元年(686)、道明上人は天武天皇の御病気平癒のため『銅板法華説相図(千仏多宝仏塔)』を鋳造し、本尊としてお祀りされた。


五重塔

近景

本堂舞台よりの眺望

 昭和二十九年、戦後日本に初めて建てられた五重塔で、「昭和の名塔」と呼ばれている。純和様式の整った形の塔で、塔身の丹色と相輪の金色、軽快な檜皮葺屋根の褐色は、背景とよく調和し、光彩を放っている。


本坊



 事相、教相の根本道場である大講堂や書院などがある。
 寛文七年(1667)徳川将軍の寄進で建立されたが、明治四十四年(1911)炎上。現在の堂宇は大正十三年(1924)に再建された。 総檜造りの大殿堂で、平成二十四年三月三十日奈良県指定有形文化財に登録された。
 残念ながら建物内は関係者以外立入禁止とのこと。

あとがき

 東博・本館にて9/23まで行われていた特別企画「奈良大和四寺のみほとけ」展にお越し頂けてなかった本尊"十一面観音菩薩立像"に出会えてうれしかった。 10m超の大きさだとそうは移動できないよねー。御本尊の脇侍たちはまだ東京にお出まし中だった。
 参拝者はチラホラと少なく自分のペースで巡れてよかった。


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