近鉄「奈良」駅から「西大寺駅行」バスに乗り約14分、「法華寺」バス停にて下車する。
20mほど北方向に歩くと左手にある。
海龍王寺は、飛鳥時代に毘沙門天を安置して建立された寺院を天平三年(731)当寺初代住持となった玄ムが、一切経五千余巻と新しい仏法とを無事に我が国にもたらすことを願うことと、平城宮の東北(鬼門)の方角を護るために光明皇后によって創建された。
遣唐使として唐へ渡っていた玄ムが帰国の途中、東シナ海で暴風雨に襲われた際、乗船に収められていた海龍王経を一心に唱えたところ、九死に一生を得て無事に帰国を果たしたことより遣唐使の渡海安全祈願を営むようになった。
また同時期、当寺において写経も盛んに行われ、光明皇后・弘法大師も写経をされており、現在も弘法大師筆とされる般若心経(隅寺心経)が伝えられている。
創建当時の建物は五重小塔[国宝]、西金堂[重文]が残り、本堂には、寺門勅額[重文]、鎌倉時代に造立された十一面観音立像[重文]、文殊菩薩立像[重文]などが安置され、同時期に建立された経蔵[重文]とともに、趣き深い佇まいを創り出している。
寺名: 海龍王寺(隅寺)
宗派: 真言律宗
創建: 八世紀前半
開基: 光明皇后(発願)
本尊: 本尊:十一面観音立像【重文】
住所: 奈良市法華寺北町897
札所: 大和北部八十八ヶ所霊場第19番
アクセス: 近鉄奈良駅から「西大寺駅行」バスで14分、「法華寺前」バス停にて下車、徒歩1分。
【履歴】
・2020/10/31(土): 10/26(月)拝観。
東二坊大路からの石段を上がり四脚門の表門を潜ると石畳の参道が真っ直ぐ20mほど中門まで続いている。
その中門を入ると境内の広場だが、直ぐ左手に受付所があり今回は特別公開「十一面観音立像、寺宝展」だったので500円(通常は400円)を収める。
表門は室町時代の建立。
本堂 |
本尊: 十一面観音菩薩立像 【重文】 |
本堂は桁行五間、梁間四間、入母屋造、本瓦葺。奈良時代に建っていた中金堂の位置を踏襲しており、深い軒の出と勾配の緩い屋根、それに堂内の柱配置が整然としていることなど、奈良時代の仏堂の様式と似ている点が多い。
建立年代は寛文六年(1666)とも伝えられ、江戸時代の建物でありながら古風な造りであり、古い伝統建築の様式が好まれた奈良の地域性を知ることができて貴重である。
西金堂【重文】 |
五重小塔【国宝】 |
奈良時代の建立(鎌倉時代に大修理)。内部に五重小塔(国宝)を安置する。
西金堂は、光明皇后宮内に残る唯一の奈良時代の建造物で、宮廷寺院の伽藍を現在まで伝える貴重な遺構である。
昭和四十年〜四十二年に解体修理が行われている。
「秋季特別公開・十一面観音特別開帳」に合わせて拝観に伺った。 奈良のお寺は興福寺・東大寺の市街地にあるメジャーな所以外は本当に参拝者が少ない。維持・運営は大変なんだろうな―と心配になってしまう。