新薬師寺は奈良市街地の南東方向、春日大社の二の鳥居の南方に位置している。
今回は"ぐるっとバス"を利用し「高畑駐車場・浮見堂」で下りてアクセスした。県道80号線「高畑町」交差点より東へ向かうと途中右手路地入口に「新薬師寺→」案内板がある。
案内の路地に入り進むと右手に新薬師寺の東門がある。
天平十九年(747)、聖武天皇の病気平癒を願った光明皇后が建立した古刹で、かつては七堂伽藍が整っていたという。
創建当時の天平建築様式を唯一残す本堂【国宝】には、薬師如来坐像【国宝】や十二神将立像【国宝】が安置されている。
薬師如来の目が大きく美しいことから眼病の人の参拝が絶えない。
かつては七堂伽藍が整った由緒ある寺院だったが、現在は本堂だけが残っている。
施設: 日輪山 新薬師寺
宗派: 華厳宗
本尊: 薬師如来像【国宝】
創建: 8世紀中期
開基: 光明皇后
住所: 奈良市高畑町1352
アクセス: JR奈良駅、近鉄奈良駅より市内循環バス10分、「高畑町」下車徒歩10分。
南門【重文】 |
東門【重文】 |
南門は新薬師寺の表門として使われている鎌倉時代後期に創られた四脚門である。
東門は南門より古く簡素な構造から四脚門ではなく二脚の棟門だったようだ。
本堂【国宝】 |
この本堂は創建当初の食堂(じきどう)ではなかったかといわれている。 正面の中央の間だけが天平尺で16尺、他の間は10尺となっている。 「入母屋造」勾配が緩い軽快な屋根と落ち着いた気品漂う外観は典型的な天平建築である。
薬師如来坐像【国宝】 |
十二神将像【国宝】 |
十二神将像が安置された「円形の須弥壇」は土製で、直径9m、高さ90cmの大きさで他寺では見られぬもの。
その須弥壇の中央に本尊を祀り、それを囲繞するように十二神将像が安置されている。
十二神将は薬師如来を守護する眷属(けんぞく)で、外側に向かって立ち、薬師如来を仏敵から守っている。
像高は1.54から1.70cm。等身大の十二神将像は新薬師寺像が最後でこれ以後は小振りの十二神将像となる。
十二神将像では現存最古の像で「本尊」が弘仁・貞観時代の作品であるのに、「十二神将像」は天平時代の作品である。
鐘楼【重文】 |
地蔵堂【重文】 |
稲荷社 |
鐘楼は、境内南東側、南門を入ってすぐ右手に建っている。 鐘楼は下部が「袴腰」と呼ばれる広がりのある形式となっており、袴腰の部分は木材が露出せずに漆喰で美しく塗り固められているという少し珍しい鐘楼となっている。市内の周辺寺院には余り見られない存在である。 なお、建物自体は鎌倉時代の建築だが、吊り下げられている梵鐘[重文]は奈良時代のもので、元興寺由来のものとされており、日本霊異記における「道場法師の鬼退治」と呼ばれるエピソードに所縁がある大変歴史ある鐘であると考えられている。
香薬師堂 |
扁額「香薬師如来」 |
この香薬師堂には珍しい地蔵が二体安置されている。一つが「景清地蔵」で、もう一つが「おたま地蔵」だ。
香薬師如来像は白鳳時代のもので旧国宝だった。聖武天皇・光明皇后が尊崇されていた銅像高さ75cmの木彫寄木造りの地蔵尊で、アルカイックを讃えた微笑の美形の像である。。昭和18年3月盗難にあい以後消息不明だが、型どりをしていたため復元をして安置している。
「おたま地藏尊」は鎌倉時代の景清地蔵尊体内から出現。裸形地蔵尊で男性シンボルをつけている等身大の仏像という。
南門より入り左手塀縁に小屋がありその中に仏像が並べられている。
本堂内のほとんどの仏像が国宝と云う贅沢な空間にチョット圧倒されそうになる。少し不便な処にある新薬師寺ではあるが、伺った時は20人ほどと多くの人が訪れていた。
香薬師堂の座敷では新薬師寺の歴史と十二神将像のディジタル復元に関するビデオが流されていたので暫し鑑賞。
復元された像は一寸サイケでいただけないかなー。