天長七年(830)、淳和天皇の命で円仁(慈覚大師)が建立し、当初は「無量寿寺」と号した。
無量寿寺には北院、中院、南院(それぞれ仏蔵院、仏地院、他聞院と称していた)の3院があった。
ただ、江戸時代初めの頃の川越大火で寺の多くの建物が焼失、復興の際中院のあった場所は仙波東照宮が建てられた為、中院は南に200m程移動した。
ここには島崎藤村の義母、加藤みきの墓がある。また、藤村が義母に贈った茶室「不染亭」が移築され、藤村書の「不染の碑」が建てられている。
寺名: 星野山 無量寿寺 中院【川越市指定史跡】
宗派: 天台宗別格本山
本尊: 阿弥陀如来
創建: 天長七年(830)
開山: 慈覚大師円仁
拝観: 無料
住所: 川越市小仙波町5-15-1
交通: JR川越線・東武東上線「川越」駅下車。
徒歩では、駅北側「三番町通り」を東へ向かい、四つ目の信号「喜多院入口」交差点まで進む
(約1km)。この交差点で左折し、約500m北上すると左手にある。(約20分)
【履歴】
・2014/06/08(日): 06/04(水)参拝。
道路から見ると由緒ある大きな寺院と思える立派な山門が建っている。
山門をくぐると正面に本堂、右手に出世観音像がある。本堂は江戸時代に再建されたもので、本尊:阿弥陀如来像を鎮座。 扉が開いていなかったので直接拝見することは出来なかった。
藤村書「不染」の碑と不染亭 |
藤村が茶道の師でもあった義母・加藤みきに贈った茶室である。
原図を比叡山より取寄せ、古い様式で再建された「昭和の文化財 釈迦堂」。本尊は釈迦牟尼如来。
「狭山茶発祥之地」碑 |
庭園の様子 |
河越(川越)茶、狭山茶の発祥の地碑には、開山のとき、円仁が京より茶の実を携え、境内に薬用として栽培したのが始まりと記されている。
その後、川越や狭山の各地で本格的に栽培され、今では名産となっている。
「色は静岡、香りは宇治、そして味は狭山」と言われ、深みのある味わいが特徴である。
30年ほど前までは境内にも茶畑があり、茶摘みをしていたと云う。
暑さが厳しい日の散策だったこともあり、本堂前で一休みさせていただいた。他に参拝に訪れる人もなくゆったりとした時間が流れているようだった。