事事関心! 仏閣探訪:
[ 東京都豊島区/高岩寺 ]
東京都豊島区/高岩寺           2019/07/31(水)新規
探訪案内 

 JR山手線「巣鴨」駅の西側を奔る白山通り(国道17号線)を少し北側へ行くと左側に斜めに合流する旧中山道の「地蔵通り商店街」が700mほど続いている。高岩寺はこの商店街に入り100mほど先右側にある。
 高岩寺は「とげぬき地蔵」として今もなお親しまれている。"とげぬき"とは「とげを抜く様に病が治る」という意味だと云う。
 高岩寺は慶長元年(1596)扶岳太助が江戸神田湯島に創建するが、いったん下谷屏風坂(現・岩倉高等学校)に移り、明治二十四年(1891)、巣鴨に移転した。 昭和二十年(1945)には東京大空襲で建物を全焼し、現本堂は昭和三十二年(1957)に再建されたものである。

寺名: 萬頂山 高岩寺
宗派: 曹洞宗
本尊: 延命地蔵菩薩像
創建: 慶長元年(1596)
開山:
開基: 扶岳太助大和尚
住所: 豊島区巣鴨3-35-2
拝観: 無料
交通: JR山手線「巣鴨」駅から徒歩約5分。

【履歴】
・2014/12/24(水): 12/22参拝。

山門 



 山門をくぐると、大きな香炉があり、お線香の煙が立ち上っている。どこでもそうだが、その煙を痛いところになすりつけると治ると云う。
 そして、香炉の先正面に本堂があり、左には"洗い観音"がある。


本堂 



 現在の本堂は昭和三十二年(1957)の建立で鉄筋コンクリート造となっている。設計は東北大学教授の横山秀哉で、平成二十一年(2009)1月、国の登録有形文化財に登録された。
 本尊の地蔵菩薩像(延命地蔵)は秘仏につき非公開である。その代わりに地蔵尊の姿をもとに描かれた「御影」が刷られた護符を病の処に貼るとご利益があるという。

とげぬき地蔵尊
 正徳三年五月(徳川七代将軍家継の治世)、江戸小石川に住む田付氏の妻、常に地蔵尊を信仰していたが、一人の男児を出産後重い病気に見舞われて床に臥した。 諸所の医者が手をつくしたが、病気は悪化の一途。 彼女は生家に宿る怨霊によって女はみな25歳までしか生きられないという父母の話を夫に伝えた。
 田付氏は悲しみの中に、この上は妻が日頃信仰する地蔵尊におすがりするほかはないと毎日一心に祈願を続けた。 ある日のこと田付氏の夢枕に一人の僧が立ち「自分の形を一寸三分に彫って河水に浮かべよ」という。 田付氏が「急には彫り難い」と答えると「お前に仏像をあたえよう」といわれ、夢がさめた。 不思議な夢と枕元をみると、木のふしのようなものが置いてあり、平らな部分に地蔵菩薩のお姿があった。 田付氏は夢にあった通りと不思議に思いつつも、地蔵尊の宝号を唱えながら形を印肉にしめして一万体の「御影」をつくり、両国橋から隅田川に浮かべ、一心に祈った。 その日の夜午前2時頃、田付氏は妻の呼ぶ声にいってみると「今夢うつつの中に男があらわれ、長い棒と籠のようなものを持って枕上に立ちました。すると香染の袈裟をつけた一人の僧が出て来て蚊帳の外に引き出し、次の間で錫杖で背中をついて追い出してしまいました」といった。
 このことがあって以来田付夫人の病気はしだいに快方に向かい、11月中旬には床をはなれ、以後無病になった。
 田付氏がこの霊験を山高氏の家で話していると、一座の中に西順という僧がいて、その御影をほしいといわれ、二枚をあたえた。 西順は毛利家に出入りしていたが、ある時同家の女中が口にくわえていた針を飲み込んで大いに苦しんだ。 西順が持っていた地蔵尊の御影一枚を飲ませると、腹中のものを吐き、御影を洗ってみると、飲み込んだ針がささって出て来た。
 これが「とげぬき地蔵尊」といわれる由来である。
洗い観音 



 境内に立つ石造の聖観音は「洗い観音」と通称される。
 自分が治癒したい部分に相応する観音像の部分を洗いタオルで拭くと利益があるという。 かつては像の表面をタオルでなく"たわし"で擦っていたため、摩耗が激しく、2代目の像が製作された。 現在の像は平成四年(1992)に奉納されたもので、彫刻家・八柳尚樹の作という。


洗い観音 
 江戸時代最大の火事であった「明暦の大火」(1657年)で、当寺の檀徒の屋根屋喜平次は妻を亡くし、その供養のため「聖観世音菩薩」を高岩寺に寄進した。
 この聖観世音菩薩像に水をかけ、自分の悪いところを洗うと治るという信仰がいつしかうまれた。 これが「洗い観音」の起源と云う。その後、永年に渡ってタワシで洗っていた聖観世音菩薩の顔なども次第に摩り減ってきたので、平成四年十一月二十七日、この仏像にご隠退をいただき、新しい聖観世音菩薩の開眼式を執行した。 新しい仏像の製作者は彫刻家の八柳尚樹先生、寄進者は仲堀義江氏である。 同時にタワシを廃止し布で洗うことにした。
 

小僧稲荷

 


あとがき

 洗い観音は大人気で、観音様の前には女人だらけの十数人の行列が出来ていた。男子は一寸遠慮するよな―。


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