最勝寺は、JR総武本線「平井」駅南口に出て、南東方向に向かうと徒歩20分ほどの荒川縁にある。
最勝寺は、「牛宝山・明王院・最勝寺」と号し、通称「目黄不動」といわれている。
最勝寺の始まりは、慈覚大師が東国巡錫のみぎり、隅田川畔(現・墨田区向島)にて、釈迦如来像と大日如来像を手ずから刻み、これを本尊として貞観二年庚辰(860)に一宇を草創したことによる。同時に大師は、郷土の守護として「須佐之男命」を勧請して牛島神社に祀り、大日如来を本地仏とした。
慈覚大師の高弟・良本阿闍梨は、元慶元年(877)に寺構の基礎を築き、最勝寺の開山となり、当寺を「牛宝山」と号した。その後、本所表町(現・墨田区東駒形)に移転した。
明治末に隅田川に駒形橋が架かることによる区画整理があり、現在地に移転し今日に至っている。
寺名: 牛宝山 明王院 最勝寺
宗派: 天台宗
本尊: 釈迦如来
通称: 目黄不動尊
札所: 関東三十六不動霊場第十九番、江戸五色不動の目黄不動尊
住所: 東京都江戸川区平井1-25-32
アクセス: JR総武本線本「平井」駅南口より徒歩20分
【履歴】
・2014/11/14(金): 11/12(水)散策。
社号標 「元 本所表町 天台宗 最勝寺」 |
山門 |
仁王像(吽) |
仁王像(阿) |
山門に朱塗りの堂が左右に別れ、堂の中には金剛力士像が納まる。初めてみる分割門だが、一応"仁王門"の型をとっている。
境内は山門を入ると真っ直ぐに石畳の参道が本堂まで続き、そして参道右手に地蔵堂、不動堂がある。
本堂 |
扁額「牛寶山」 |
堂内には本尊の他に、もと牛島神社の本地仏で、慈覚大師の作の「大日如来」、渡来仏の「毘沙門天」、葛西川三十三ケ所の中二十三番の「千手観音」等々が安置されている。
又、大般若経六百巻、法華経等々が寺宝としてある。
不動堂 |
扁額「不動尊」 |
目黄不動尊像 |
不動堂に奉安されている不動明王像は、江戸府内五色不動の一つで、"目黄不動"と称されている。
この不動明王像は、天平年間(729〜766)に良弁僧都(東大寺初代別当)が東国巡錫の折り、隅田川の畔で不動明王を感得され、自らその御姿を刻み、同時に一宇の堂舎を建立した。
その後最勝寺の末寺で本所表町にあった東栄寺の本尊として祀られ、徳川氏の入府により将軍家の崇拝するところとなった。
殊に家光公の崇拝は篤く、仏教の大意に基づいて江戸府内に五色不動の霊場が設けられたが、この時に"目黄不動"と称され、江戸の町を守護する不動尊として広く信仰された。
明治の神仏分離により東栄寺は廃寺となり、本尊不動明王像は本寺の最勝寺に遷座され、これより当寺は「明王院」と号するようになった。
木造不動明王坐像(江戸川区指定文化財)は、享保九年仏師松村理右衛門の作で像高1m27cmの檜寄木作りである。
光背並びに二童子は江戸初期の作といわれる。
観音・地蔵堂 |
観世音菩薩立像 |
地蔵菩薩座像 |
訪れたのが三月初めだったこともあり境内は殺風景だった。 不動堂の参道には蓮の水盤が並べられているので蓮の花が咲く季節に参拝するのが良いだろう。