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[ 相模国府祭六社巡り ]
相模国府祭六社巡り 2013/12/02(月) 作成
あらまし

 奈良・平安の時代、都から各国々に派遣された国司は任国に着くと先ず最初に巡拝と称してその国の有力大社を参拝し、平和と繁栄を祈願する習わしがあった。  かつて、新たに赴任した国司は、まずその国の有力寺社を巡拝していた。しかし、それには多くの日数と費用、人員を要したことから、巡拝する神社の御分霊を国府近くの神社に合わせて祀る習わしが起こる。 それが総社のはじまりで、国司は総社に神拝するようになった。総社に御分霊を納めるために始まったのが「国府祭」といわれている。
 相模の国では、寒川神社、川匂神社、比々多神社、前鳥神社、平塚八幡宮、六所神社の六神社である。
 毎年5月5日の相模国府祭(こうのまち)では、「神対面の儀」(しんたいめのぎ)が行われ、相模国六社の神々が年に一度の対面をし、一之宮より各神社の御分霊が総社に納められ、天下泰平・五穀豊穣が祈られる。
 いにしえの相模国の国司に習い六社の神々にお参りし、悠久の歴史に浸るとともに難多きこの時世の平穏を願う気持ちで出かけてみた。

NO.神社名住所拝観期日備考
 01 一之宮: 寒川神社 高座郡寒川町宮山3916 2012/02/10 
 02 二之宮: 川匂(かわわ)神社 中郡二宮町山西2122 2013/09/21 
 03 三之宮: 比々多神社 伊勢原市三ノ宮1472 2013/10/31 
 04 四之宮: 前鳥(さきとり)神社 平塚市四之宮4-14-26 2013/11/27 
 05 天満宮: 平塚八幡宮 平塚市浅間町1-6 2013/01/21 
 06 総社:  六所神社 中郡大磯町国府本郷935 2013/05/21 

【履歴】
・2013/12/02(月) 掲載。

一之宮: 寒川神社 高座郡寒川町宮山3916

 JR相模線「宮山」駅で下車、駅前の通りを南下し寒川大橋を渡り少し歩くと神社前に到着だ(徒歩5分)。


寒川神社-拝殿


 相模国を始め、関八州方除総鎮守の神として古くから信仰を集め、約千五百年前雄略天皇の御代には奉幣のことが記されている。 また、醍醐天皇の御代に制定された延喜式では相模国唯一の名神大社に列せられ、今日では地相・家相・方位・日柄等に由来するすべての災いを祓い除く八方除の守護神として全国より広く信仰されている。


二之宮: 川匂(かわわ)神社 中郡二宮町山西2122

 JR東海道本線「二宮」駅下車、神奈中バス「国府津行」に乗り「押切坂上」バス停で降り、徒歩約10分。


川匂神社-拝殿


 縁起書によれば第十一代推仁天皇の時代、磯長国の国宰だった阿屋葉造が勅使を奉じ、磯長国鎮護を祈願し創祀した。
 第十九代允恭天皇(いんぎょうてんのう)衣通姫命皇子御誕生安穏の奉幣祈願を始め、建久三年(1192)には源頼朝が夫人平産のため神馬を奉納している。


三之宮: 比々多神社 伊勢原市三ノ宮1472

 小田急線「伊勢原」駅下車。神奈中バス北口1番乗場より「栗原行」に乗り、「比々多神社前」バス停で下車(バス15分、但し本数少ないので事前要調査)。20mほど戻った処に鎮座している。


比々多神社-本殿


 「社伝記」(天保五年(1834))によると、御鎮座は初代神武天皇六年(紀元前655年)、人々が古くから祭祀の行われていた当地を最上の地と選び神を祀る社を建立し、相模国の霊峰大山を神体山として豊斟渟尊(トヨクムヌノミコト)を日本国霊として祀ったことに始まると云われている。
 第五十三代淳和天皇より当国総社冠大明神の神号を賜り、延喜の制では式内社に列格された。


四之宮: 前鳥神社 平塚市四之宮4-14-26

 JR東海道本線「平塚」駅で下車、北口よりバス6番に乗り「前鳥神社前」で降り、徒歩3分。


前鳥神社-拝殿


 延喜年間に編集された「延喜式」神名帳に登載された延喜式内社で、千六百年超の歴史がある。 祭神の前鳥大神(菟道稚郎子命)は、第十五代応神天皇の皇太子で、当時、百済から来朝していた阿直岐(あちき)から帝王への道を学ばれた後、博士王仁を師として学問の道を開いた。 このことから古くより修学の神、学問の神として広く尊崇されている。


八幡宮: 平塚八幡宮 平塚市浅間町1-6

 JR東海道本線「平塚」駅で下車、北口より北へ徒歩5分。


平塚八幡宮-拝殿


 平塚八幡宮は古くは鶴峯山八幡宮と称えられ、仁徳天皇の六十八年、この地方を襲った大地震に苦しむ人々の様を見かねた天皇が国土安穏を祈り、應神天を祀ったのが創祀である。
 現在でも平塚八幡宮は、應神天皇、神功皇后、武内宿禰を祭神とし、相模國一國一社の八幡宮として崇敬を集めている。


総社: 六所神社 中郡大磯町国府本郷935

 JR東海道本線「二宮」駅で下車、神奈中バス「平塚行」を利用、「国府新宿」バス停で降り、少し戻ると道路沿いに大鳥居が建つ(徒歩5分)。 (一時間に1,2本しかないのでよく計画が必要)


六所神社-拝殿


 第十代崇神天皇の御代、櫛稲田姫命を守護神とし創建され、当時は「柳田大神」と称した。
 大化改新後、奉遷歴勅を以て相模国八郡神祇の中心たる相模国の総社として現鎮座地に遷座した。 その時より、柳田大神に、一之宮寒川神社、二之宮川勾神社、三之宮比々多神社、四之宮前鳥神社、平塚八幡宮の分霊を合わせ祀り「相模国総社六所神社」と称されるようになった。
 鎌倉時代には、源頼朝公の崇敬誠に篤く、治承四年富士川の合戦の戦勝祈願を始め、奥方の北条政子の安産祈願等たくさんの記録がある。 戦国時代には、戦国大名の小田原北条家の崇敬厚く、また、後に関東を支配した徳川家康も此に倣い、六所領五十石(相模国では2番目の大きさ)寄進の御朱印状をよせ、以後歴代の徳川将軍も同様に五十石を寄進し明治に至る。

あとがき

 六社を巡り終えたので、後は大磯町国府で五月五日に催される国府祭を観に行くことが残っている。祭りは朝から夕方まで六時間超の長丁場なのでよく考えてから計画しよう。


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